▼鏡
メルビン「わしでも　バニースーツは
　　似合うで　ござるかなあ。

メルビン「顔のシワ　1本1本に
　　その人の　歴史が
　　きざまれているでござるぞ。

メルビン「こう見えても　昔は
　　ご婦人方に　モテモテの
　　美青年だったでござるよ。

メルビン「トシはとっても
　　このメルビン　ますます男前に
　　みがきがかかる一方でござる！

メルビン「ほーっ。　ちかごろの　鏡は
　　昔とちがって　よく映るでござる。
　　おどろきでござる。

メルビン「わしは　顔のシワの数だけ
　　数えきれないほどの　シュラ場を
　　くぐってきたでござるよ。

メルビン「わしも　ずいぶん
　　老けたでござるなあ。　とほほ……。

メルビン「はーっくしょん！
鏡が　ツバだらけになった。

メルビン「どれどれ……おおっ
　　わしが　うつっているでござるな！
　　わはははははっ！！

メルビン「ふむ　少しくらい
　　気をきかせて　若く　うつして
　　くれぬもんで　ござるかなあ。

メルビン「こうして見ると　わしも
　　まだまだ　イケてるでござるな。

メルビン「わしの鼻が　もう少し
　　高かったら　わしは　かっこよさでも
　　英雄クラスだったでござるがなあ……。

メルビン「おうおう　よーく見れば
　　わしも　まだまだ　すてたもんじゃ
　　ないで　ござるなあ。

メルビン「じじいの　カオなんぞ見ても
　　つまらんで　ござるなあ。

メルビン「うむ。　われながら
　　よい目を　しているでござる。

ハナ毛が1本　飛び出ている！

するどい眼光が　キラリと　かがやいた！

メルビンは　あわてて
コシを伸ばした……。

メルビンは　口ヒゲを
きれいに　ととのえた。

また　白髪が1本増えた……。

メルビンは　めだたないように
目じりのシワを　のばした！

自分の姿を見て　メルビンは
深い　ため息をついた。